? いたちなあたち・読書レビュー・茜雲総集編
茜雲総集編 日航機御巣鷹山墜落事故遺族の20年

文章力 ★☆☆
構成力 ★☆☆
表現力 ★☆☆

引き込まれ度 ★☆☆
心に残る度 ★★☆

読んだ月:2016年11月
完全に期待外れな本であった。

遺族の会である「8.12連絡会」が機関誌に掲載していた
遺族からの手記をまとめた書籍である。

そもそも本書の中身である遺族の手記は書籍化を目的としたものではない。
遺族が、そのやりきれない思いや、届ける相手を失った言葉を吐き出すこと、
遺族にしかわからない胸の内を手記を通じて共有することで
互いが支えあって生きていくことを目的としたものである。

そういう目で見れば良いのだが、
1つの書物として紐解こうとした私にとって本書は
あまりにも内容が稚拙でがっかりだった。

ただ、どうしても読みたかった手記があったこと、
その手記の一文が私の心を揺さぶったことを考えれば、
本書を手にした意味はあったかも知れない。

私が読みたかった手記は、8.12連絡会の立ち上げから運営まで
担ってきた女性が書いた文章である。
当時9歳の一人息子を事故で亡くした母親だ。

『あの迷走の32分間、恐怖の機内でこの小さな右手は
 一体どこをつかんでいたのだろうと胸が締め付けられ、
 涙がところかまわずこぼれてきます。』

我が子の遺体が右手だけだったという母親の心の叫びが聞こえる。
どれほど自分を責めただろう。血に近い涙をどれほど流してきただろう。

事故からの30年という時間は遺族の悲しみを癒してくれたであろうか。
そう願うばかりである。