最後に伝えたかったこと

文章力 ★★☆
構成力 ★★☆
表現力 ★★★

引き込まれ度 ★★★
心に残る度 ★★★

読んだ月:2016年11月
看護師という職業にプライドを持ち、
病院や科を問わず転々としながら働く岡田さんの著書。

患者の症状から、診断されるであろう病名を挙げ、
その病気について素人でもわかりやすく説明を入れることで
専門的な知識を持たない人でもスッと物語に入り込み、
実際にいた患者の苦悩を共有しやすくしているところはさすがだ。

ほっこりするのではなく、切なく悲しくなる話が多い。

患者の数だけドラマがあるのだと思う。
ドラマと書くと御幣があるが、なんと言えばいいのだろう。。。
患者を取り巻く家族や患者の過去、それらがどうにも切ないのだ。

大きな腫瘍を脇に抱えて、
そこから発せられる分泌物を取り除くためのパッドを
自分で交換していた32歳の女性の気持ち。
娘夫婦に自分の生命保険を渡すため、
死ぬための手術を控えて手を震わせている老婆の気持ち。
吐血した隣のベッドの女性の血を
素手でぬぐう失語症の老人の気持ち。

全てが切なく悲しくやるせない。

彼らはもうこの世にはいない。

彼らの死に様を、この本を読むことで共有してしまった
(あえて「してしまった」と書こう)のだから、
できることは1つだ。
彼らのことを時々思い出す。
機会があれば誰かに伝える。

そして彼らが喉から手が出るほど欲しかった「生命」を
持っているのだから
決して粗末にはせず、どんな形であれ生き抜いていく。

私は人の死に立ち会った経験はない。
だからこそ、この本で関わった人たちの死と
向き合わなくてはいけないと考えさせられた。