? きつめのきつね・2018年フェネックベビー・4月生まれ・生後5日目
つめのきつね(HOME) → フェネックベビー成長記 → 2018年4月27日生まれ
久しぶりにフェネックの赤ちゃんを亡くしました。
そしてまた、私の判断ミスが原因でした。

死亡したのはメスのベビーです。
一番最初にナイルから生まれてくれた女の子。
フェネック動画集の出産シーンにも収めていました。
この誕生からわずか5日の命でした。

体重が増えない。

メスの体重が他の2匹に比べて増えていないことを
私は生後2日目から気づいていました。それでも、
母フェネックのおっぱいを探す様子が見られたこと、
念のための補助ミルクも1.5ml飲み込む元気があったこと。
以上の2点から私は赤ちゃんをナイルに任せることに決めました。

子猫用・子犬用ミルクを補助的に朝晩与えながら
体重を測ってきました。
2匹のオスフェネックの赤ちゃんが順調にどんどん重くなっていくなかで
女の子の赤ちゃんは体重は増えないどころか減っていきます。

50g→49g→51g→50g

補助ミルクで一時的に体重は増えるけれど、
数時間後には減っているのです。

生後間もないフェネックベビーにとって、
体重が減るということが危険であることは
私は重々承知していました。承知していたはずなのに。
なぜ私は「今回は大丈夫」と思ってしまったのか。

今朝51gだった体重を補助ミルクでなんとか55gまでに増やしてから
私は仕事に出ました。
休めばよかった。赤ちゃんより大事な仕事なんかじゃないのに。

夜に帰宅して1匹ずつ様子と体重を確認。
1匹目のオス。体重は70g超え。
2匹目のオス。体重は同じく70gを超えていました。
そして3匹目のメス。体重は51gに戻っていました。

そしてハッとしました。
メスのお尻が汚れていました。さらには、
最初に体重を測る時に見ていたオス2匹の顔色と
メスの顔色が明らかに違いました。

うっすらと口を開けているメスの赤ちゃんの姿を見て

まずい。これはまずい。

ようやく私は気づいたのでした。

すぐに本格的な人工哺乳の準備に入りました。
・ペットヒーター
・箱
・フリースの布
・ミルク用品

シリンジでミルクをやると。。。飲みました。
赤ちゃんはとても良い勢いでミルクを飲み始めました。
テンポよくシリンジを奥と手前に小刻みに動かすのが
フェネックベビーの哺乳のコツです。
そのテンポに合わせて、赤ちゃんは上手にミルクを飲み込みました。

少し光が見えました。

とは言っても、それでも私は
この赤ちゃんは危ないのではないかと感じていました。
それは、私が赤ちゃんを見つけたときに
赤ちゃんのお尻が汚れていたためです。

赤ちゃんのお尻が汚れていたということは
ナイルが舐めとっていない、世話をしていないということです。
すなわち、ナイルが赤ちゃんを見限ったということ。

こういう時の動物の勘は鋭いものがあります。
人間には嗅ぎ取れない、死が近づいているものの匂いを
野生の力は敏感に感じ取るのです。

それでもミルクを飲み込んだ赤ちゃんです。
母フェネックが見限ったとしても
飼い主である人間の私が諦めるわけにはいきません。

これから30分から1時間おきに哺乳をすることで
赤ちゃんの体重は戻ると思いました。
朝から10時間以上も栄養を取れていなかった赤ちゃんです。
衰弱している赤ちゃんですが
ミルクを与えてやることで生きる力を取り戻すと信じました。

しかしそんな希望は、最初の哺乳から40分で砕けました。

次のミルクを、もう赤ちゃんは飲み込もうとはしなかったからです。

時間を置いて数回試しましたが
赤ちゃんはもう体に生きる元(=ミルク)を入れることを止めていました。

だめだ。

そう判断した私は、次に赤ちゃんを見送る準備を始めました。
準備とは言っても簡単で
手の中に包んで温めながら、話しかけながら、触りながら
最期の瞬間まで一緒にいるという心の準備です。

準備をしながら気になったことがありました。
メスのお腹の膨らみです。
過去にもミルクを飲めなくて
衰弱して死んでしまったフェネックベビーがいましたが
体は細い状態でした。

しかし今回の女の子のお腹はぷっくりと膨れているのです。
ちゃんとミルクを飲んでいるフェネックのお腹と同じでした。

何となく違和感を感じましたが
それでも手の中の赤ちゃんが小さく息をしているその姿は
もう絶対に助からないであろうことを示唆していました。

最初のミルクの頃から認識していた粘着性のある口内も
今では死に向かうステップのひとつだったように思えます。

小さな小さなお手手を握ったり
あんよを撫でてみたり
お耳をさすってみたり。

まだ温かい赤ちゃんの体を感じたくて
生きている赤ちゃんを感じたくて
私はずっとちっちゃな体を手の中に包んでいました。

夜8時過ぎ。
赤ちゃんは赤い色の小さな便をしました。

きゅぅ。きゅぅ。

時々鳴いていた声も、だんだん聞こえなくなりました。

そして夜11時40分。
赤ちゃんの心臓の動きは止まりました。
帰宅して異変に気付いてから5時間後のことでした。

メスのフェネックの赤ちゃん。
我が家に生まれてくれてありがとう。
2018年5月2日(水曜日)
生後5日目